恋の魔法と甘い罠
そしてこの静かな空間の中で、不安で大きな音をたてているどきどきが慎也さんにも聴こえてしまいそうで、小さく息を吸ったり吐いたりしてみるけれど、それが全く小さくなることはなくて。


どうしよう……なんて思っていたら、目の前から低い声が聴こえてきた。



「玲夢」



その瞬間、あたしの鼓動はどきんっと大きく跳ねる。


だってそれは低いけれど凄くやさしいもので。


あたしはこの声で名前を呼ばれることが好きで好きでしょうがなかった。


だからか、ずっと愛されていたと勘違いしていた頃のことを思い出して、目の奥がじわじわと熱くなってくる。


ゆっくりと視線をあげると、やさしく細められている瞳がそこにはあって。


胸がぎゅっと締め付けられた。
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