恋の魔法と甘い罠
そんなことをされると、和泉さんとの距離がめちゃくちゃ近くなって、さらにどきどきが大きくなるし頬がカッと熱くなる。


けれど、和泉さんはそんなあたしの様子には全く気づかない。


またからかわれるだけだからその方がいいんだけれど、それはそれでちょっぴり寂しい。


なんて考えている時点で、かまってほしいと思っているも同然なんだなぁと思う。


そして、相変わらず至近距離にいる和泉さんがあたしの瞳を真っ直ぐに見つめながら訊いてきた。



「ほんとに、課長のことを忘れたのか?」


「え……あ、はい」



和泉さんの瞳を避けるように、視線をそらしながらそう答えたけれど、さっきはっきりそう言ったよね。


その上、他に好きな人ができたことまで暴露してしまったのに。


わざわざ確認しないでほしい。


そんなことを続けられてしまったら、ついぽろりと本音をこぼしてしまいそうだもん。
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