Hurt〜傷〜
「…そして今日、久しぶりに再会してみると、今度はその女の子が、独りぼっちで傷ついていたんだ。俺は助けてもらった時の、あの優しい笑顔を取り戻してほしい。」


渉はそこで一区切りして、純を見つめた。


「ねぇ、純ちゃん…。俺に、笑顔を取り戻す手助けをさせてくれませんか?」


純は驚きを隠せないで地面を見つめていた顔を上げ、渉と目を合わせた。


「私、寂しがり屋なんです。だから…ずっと側にいてくれますか?」


純は、恥ずかしそうに言った。


「もちろんだよ」


渉は優しい笑顔でそう言って、純を抱きしめた。

純も渉の体に手を回し、二人は抱き合った。

渉の大きな身体に包まれた純は、温かい幸せに浸った。

夏の汗ばむような暑さも気にせず、二人は、しばらく抱きしめあっていた。

ずっと、ずっと、いつまでも、この温かくやわらかな幸せが続くと、信じながら…。
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