【完】短編集~幼馴染み~
「行きたく…ないよぉ!うわぁぁ…!」
泣きわめく、未来。

「は?アメリカ…?どういう…ことだよ。なぁ…未来っ!」
「パパ…の、転勤…で。アメリカに…っ…」
「嘘、だろ…」
そう、思いたい。
けど、泣き叫ぶ未来を見ていると、現実だとわかってしまう。

「うぁっ、陸っ…陸っ…離れたく、ない…!!」

震えている、体。声。
何度も、何度も…俺の名前を呼ぶ、愛しい彼女。
俺はギュッと、未来を抱きしめる。

「…っ、未来っ!」
力強く、未来が壊れてしまうんじゃないかと思うくらい、強く、抱きしめる。

「陸っ…!」
俺の頬にも、涙が伝う。
頼む、止まれ、涙。
――止まってくれ。

「陸っ…やだぁ…やだっ…!!」
「未「離れたく、ない…っ!」
「未来っ」


神様は、ホントにいるのだろうか。
いるのだとしたら、なぜですか?
なぜ、未来と俺を、引き離すのですか。
やっと、付き合えたのに。
どうして、幸せな俺たちに、こんな試練を与えるのですか。


頼むから、


未来を、遠くに行かせないでくれよ――…。



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