【完】短編集~幼馴染み~
「それより、夕陽。あんた、数学の宿題、してきたの?」
「………」
「あれほど、ちゃんとやってこいって言ったのに。はい、ノート」
「わっりぃな!さっすが夏希!頼りになるぜ」
「…うん」
「夏希ぃ、ソーイングセット、持ってるぅ??」
「ん?あるけど、どしたの?」
「ブレザーのボタン、取れたぁ(泣)」
「ヒナ、不器用でしょ。縫ってあげるから、ブレザー頂戴」
「さすが夏希!」
あたしはささっと縫い終えた。
「ありがとぉ!」
「夏希ー」
「んー?体操着貸して――」
「いーよ!はい」
「夏希ー」
「夏希ー」
あたし、ホントにみんなからいろいろ頼りに(?)されてます(笑)
「夏希って、ホント姉ちゃんみてぇだよな」
「っ、そ…かな」


“お姉ちゃん”かぁ…。



ハハっ、完璧、対象外じゃん。


あたし、夕陽にとって…恋愛対象外そのものじゃん。


―――報われるはず、ないんだ。


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