【完】短編集~幼馴染み~
「…ぐ。芽久!」
「あ、蒼ちゃん。なに??」
「今日、日直だろ?黒板、消さなくていいのか?」
「あ、そうだった。ありがと♪」

私は黒板を消しに向かった。
「ん……と、届かない」
先生上に書きすぎだよ〜〜!!
私はできるだけつま先で立った。
「も、ちょい……わっ」
バランスを崩し、後ろにのけ反る。

ヤバッ!!

後ろには教卓もあるし、ヤバイッッ!
その時、誰かに支えられた。

「あ、蒼、ちゃん…」

蒼ちゃんが私の後ろにいて、あたしを抱きとめた。
つまり、今私は蒼ちゃんの腕の中//

「大丈夫か?届かないなら言えよ。ホント芽久は昔から無理ばっかりして」
「ゴメン…。てか、そろそろ離して…//」
「あ、わりぃ。俺が黒板消すから」
「ん。ありがと」
「どういたしまして」

……体、大きかったな。
男の子の、体だった。
いつの間にか、“僕”から、“俺”に変わったし、言葉づかいも変わって。
けど、優しいところは、変わんないね。

ねぇ、蒼ちゃん。
あなたはあの約束を、
覚えていますか?

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