【完】短編集~幼馴染み~
呼びだしたのは、先輩だ。

「あんたさぁ、彗くんのなんなの」
「えっと…幼馴染み、です」
「はぁ?幼馴染みだからって、ずっと隣にいるわけ?」

怖くて、後ずさる。
壁に背中がぶつかった。

「彗くん、あんたなんかと幼馴染みで可哀想」
「つか、付きまとわれて可哀想」

真ん中にいる先輩が、ドンッと手を壁に当て、鈴の顔を覗き込む。

「あんたさぁ、邪魔なんだよね。彗くんの傍から離れてよ」

なんで、知らない人にこんなこと言われなきゃいけないの…?

「早く、返事しなよ!」

鈴の胸ぐらを掴んできた。

「キャッ!」

「ブハッ!“キャッ!”だってぇ!」
「なにかわい子ぶってんの?」
「あんたみたいなブスさぁ、彗くんの隣にいていいはずないじゃん」
「っ、」

涙が、溢れだす。

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