【完】短編集~幼馴染み~
「おぉ、莉那!はよ」
「っ、お、はよ…」

ねぇ、今あたし……、


ちゃんと、笑えてる?

「元気なくね?どした」
「んーん!何でもないよ♪それより、重たいでしょ?あたしも手伝うよ」
「サンキュ。でも、大丈夫だよ」
「大原くーん!先に行ってるよ~?」
「おう!クラスもすぐそこだし!な?」
「そ…っかぁ。じゃぁまたね」
「ん」
そう言って隆也は前へ進んで行った。
あたしを残して…、さっきの子の方へ駆け寄り、喋りながら――……。

ねぇ、隆也……。

みんなと同じ接し方なんて、嫌だよ――……。

あたし…彼女、なんだよ、ね?

「小宮山?」
「あ、野くん」
「ボーっとしてどうしたん?教室入れば?」
消えろー、ネガティブ!
あたしは顔をぶんぶんと横に振った。
「うん!そだ、宿題やった?」
「え、宿題…?あぁ、英語か。やったよ」
「おぉ、さっすがだね♪」
あたしは野くんと話しながら、教室へ入った。


まだ心には……


あの感情が少し、残っていた。


絡まってしまった糸は、


簡単には、

ほどけない。


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