【完】短編集~幼馴染み~
「ハル、おはよ♪」
「あ、りぃちゃんおは~」
ハルにあいさつを済ませると、あたしは配布物を取りに職員室前へ。
「お~、莉那っちだ!」
「莉那っちおはよ」
「あ、ゆっち先輩、ちぃ先輩!おはようございま~す」
この2人は野球部の先輩!
隆也と一緒にいたから、声をかけられて今では莉那っちと呼ばれている。
「最近部活、休みらしいですね」
「そう!顧問がいなくてさ~」
「ま、休めてラッキーだよ(笑)」
「アハハッ、ちゃんと自主練しなきゃダメですよ~」
「ハハっ、う~っす」
「またね、莉那っち」
「さよ~なら」
あたしはペコッと頭を下げる。
その後配布物を取りに向かった。
お、今日は少ない♪
階段を上り終え、クラスへ向かう途中、こっちへ向かってくる隆也を見かけた。

「たか「あ、石山!大丈夫かよ」
隆也の声が、遮った。
「あ、大原くん!平気だよ~」
「そんなにワークとか持って、重いだろ。貸せよ」
「わっ、…ありがとう♪」

――ズキンッ。

あたしと、同じなんだ…。
あたしと同じ優しさで…みんなに接するんだ…。
あれ、なんだろう。
醜い感情と、悲しみの感情が入り混じる――……。

今は、こっちに気付いてほしくない。
きっと…泣きそうな顔してるから。

お願い…気付かないで――。
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