【完】短編集~幼馴染み~
――バンッ!
いきなり開いたドア。
「っ…はぁ…はぁ…葵っ…」
なんでよ…、なんで来るのよ…
「健太…」
どうして、そんなに息を切らして…
ココに来るのよ…!

「葵、ごめんっ」
「誰も謝ってなんて言ってないっ!」
あたしは、ただ――…


健太。あなたの気持ちが知りたいだけなの。

どうして戻ってきたの?

どうして好きでもないくせにキスしたの?

別れのトキにしたあのキスは一体なに?

「――っ!」
「ごめん」
「はな…して」

どうして抱きしめるの?

「葵、ちゃんと俺の話、聞いて…」

どうして、どうして。


この“どうして”は、あなたの話を聞けば、消えますか――…?

「…わかった、聞くよ」


そう言うと、そっとあたしを離し、

優しく、笑った。
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