偽りの恋人
私の言葉に、同期の大野(オオノ)くんは苦笑いをこぼしながら、手に持っていた書類をひらひらと私に見せた。
「俺も。 あ、よければこのあとご飯でも行かない? 家帰って作る気にもなれないんだけど、コンビニ弁当も嫌でさ」
「いいよ、…それが一発で通ればね」
「あはは、いってきます」
大野くんの言葉を了承し、課長のブースの方に向かう彼を見送る。
社会人2年目の同期同士、何度かご飯を食べに行ったことはある。
2人だったり、大勢でだったり。
話しやすくて、男友達、という感覚に近い。