セックス·フレンド【完結】
灰皿は、あたしの頬をわずかに掠め、床に落ちた。


絨毯の上に、少量の灰が散らばっている。


つかつかと近づいた西村君は、怒りと悲しみの混じった表情をしていた。


「こんなの、やだよ」


叱られた子供みたいな顔で、西村君があたしを抱きしめた。


わからなかった。


なぜ、彼がこんなにも哀しげにしているのか、見当もつかなかった。


あたしは、西村君の腰にそっと手を回した。


顔を上げた彼の目は、真っ赤に潤んでいた。
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