セックス·フレンド【完結】
「灰、落ちそう」


「うわ、本当だ」


指に挟まれたタバコは、3分の2が灰になり、今にも落っこちそうだった。


「ごめん、ちょっとぼんやりしてた」



「大丈夫?深刻な顔してたけど」


「なんでもないの」


ふぅんと、隆也はさほど気にする様子もなく、



「あ、そうそう。少し早いんだけど」


と、おもむろにベッドから起き上がり、ソファーの上に置いたジャケットの内ポケットを探った。


その、逆三角形の後ろ姿に見とれてしまう。


年を重ねて、少しだけ脂肪の乗った体つき。


ぴんと張ったふくらはぎ。


薄い体毛。


しばらくは、試合がないからと、ずっと坊主頭に刈り込んでいた髪の毛が、やや伸びている。


どこもかしこも、狂おしいくらい愛おしい。


ずっと、見つめていたい。


一番近くで。


やはり、あたしは隆也でなければだめだ。
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