セックス·フレンド【完結】
ほどなくして、勤めていた美容院の先生に、無期限の休暇を言い渡された。


仕事中も、突然泣き出したり、息ができなくなったりするよう精神状態だったのだから、当然と言えば当然だった。


「何があったかは聞かないけれど、あなた最近おかしいわよ。病院へ行きなさい。こう言ったらなんだけど、うちは客商売だし、ハサミなんかも扱っているでしょう?だから、ねぇ、何かあってからじゃ遅いのよ」


先生は申し訳なさそうにそう言った。


仕事を休みたくはなかった。


これ以上、隆也を思い出す時間を増やしたくなかったからだ。


でも、先生の言葉にしたがうしかなかった。


そして、それがさらにあたしを追い詰めた。


あたしには、何もない。

愛する人を失い、仕事を失い、友達を一人失った…。


生きているのが辛かった。


死にたいと、日に何度も思った。


でも、死ぬ勇気もなかった。


そして、そんな情けない自分がますます嫌になった。
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