セックス·フレンド【完結】
ほぼ、毎晩のように隆也の夢を見た。


起きた時、すべてが夢だったのではないかと錯覚することもあった。


隆也が入院していた頃に戻りたい。


いいや、再会した頃に。

ううん。


もっとずっと前、まだ、あたしたちが恋人同士だった学生時代まで遡ることができたら…。


過去を追い求めては夢を描き、その後、虚しさに襲われる日々の繰り返し。


思い出すのは、あたしを隅々まで愛してくれた隆也。


フラッシュバックする過去が優しければ優しいほど、幸せな記憶ほど、あたしを苦しめる。


なぜ、あたしではいけなかったのだろう。


なぜ、竹内ミキが選ばれたのろう。


歯車が狂い始めたのはいつからだったのか。


現実と夢のはざまで、あたしは、いつも揺れていた。
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