セックス·フレンド【完結】
愚かだったと今ならわかる。


好きな相手に恐怖心や苛立ちを与えて、心を取り戻せるはずがないと。



それくらいなら、一度きっぱりと身を引き、再び友人関係を築き上げ、それから、また女として振り向いてもらう努力をすればよかったのだ。


そうすれば、まだ可能性はあったかもしれないのに…。


けど、その当時のあたしには、それができなかった。


ほんの一瞬でも、隆也を他の誰かに渡すなんて考えられなかった。


今すぐにでも恋人同士に戻れなければ意味がないと思っていた。



時間をおくのを解決方法の一つだとは考えもせず、ただ、焦ってばかりいた。


そして、あたしたちの関係を決定的に終わりにする事件をあたしは引き起こしてしまう。


あれは、確か9月の最初の日曜日だった。


彼の全国大会行きをかけた剣道の試合の日。


隆也に会えるチャンスとばかり、あたしは、試合会場へ出かけていった。


そこなら、逃げ場がないと計算してのことだった。
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