桜琳学園(仮)

少しの移動距離だとしても、全く不快感を与えない抱き心地に
なんだか本当にお姫様にでもなった気持ちになった



「ありがとうございます、片桐さん」



後部座席のシートに座らせてもらってからお礼を言って頭を下げた



「いえ、お荷物はこれだけで大丈夫ですか?」



私の言葉にニコッと微笑んでから私のカバンを手渡してくれる


本当に出来た人だよ、この方は!!


なんて感激している私に綾那の怒声が聞こえてきた



「ちょっと片桐~!!なんでレイを抱っこしたの!!」



あ…綾那は片桐さんがスキなんだからイヤだよね、
他の人を抱くなんて…



「綾…「私が抱っこしたかったのに!!」



は?



「失礼ですがお嬢様ではムリかと、」



「本当に失礼ね!!レイくらい軽ければ私でも抱けるわよ!!」



綾那の意味不明な怒りに対し淡々と答える片桐さん


あの~、綾那さん、怒る観点で違うかと…思うんですがね、はい



「お嬢様、麗羅さまが呆れられていますよ?早く車に乗られては?」



んー、片桐さんやい、何か言葉の節々にトゲがあるように感じるのですが…


ほらー、綾那下向いちゃったじゃん、
拗ねたじゃん、


んまぁ、拗ねた綾那も可愛いけど


なんて考えてたら口元が緩んでしまい
あわてて顔を元に戻した



「綾那…、帰ろ?」



車の中からで申し訳ないと思いながら綾那を呼んでみる


その声に反応した綾那は顔を上げて…







「くそ片桐ー!!!!」



吠えた



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