イジワル社長と身代わり婚約者
「あ、あっ……ダメっ……」

 むずむずと起こっているあの感覚。さっき取りあげられた続きは、爆発しそうになるぐらい張りつめている。

「さっきから何がダメなの? イキそうなんだろう?」

 分かっているくせに……イジワルな言葉を吐いて、彼は愛撫をつづける。

 言葉で責めてくるくせに、与える愛撫はこのうえなく甘ったるい。彼が時々息継ぎをするその微かな音にすら、私は扇情されているのだ。

「あぁ、おねがい……です、……やぁっ、もうっ……そこばっかり、しないで」
「だったら、どこをして欲しいのか言って。そうじゃなきゃやめないよ」

 舌先でねっとりと敏感なところを撫でられて、彼の長い指がゆっくりと私の中に入ってくる。

「こうして欲しかったんだろ」

 もどかしいほどの緩さで挿入しては抜けていく。唇が敏感なところをやわやわと挟んで、彼の指は次第に挿入の速度をあげていく。もうこれ以上はダメ!

 もうすぐ――という時、黒河社長は寸前で止めて私の顔をしげしげと覗き込んだ。

「こんなに頬を紅潮させて、とてもかわいいよ。こんな淫らな君を見て、朝からしたくならない方がずっと奇特だ」

「やぁっ……あん、社長……っ」
「違うだろう。潤哉さん、そう呼んで」

 彼は腰をぐいと押したかと思えば、ぬるりと引いて、またずんっと奥へと収めた。

 私が淫らなんじゃない。社長がイヤらしくさせているのに。

 私の気持ちなんて知らないくせに。社長が……好きで、ずっと好きで……たまらなかったことなんて。
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