クールで無愛想な彼氏

卒業

あれから、清水君とはほんとなにもなくなった。


ただ廊下ですれ違うと笑顔を向けてくれて



これでよかったんだと思うとホッとした。





「おい未央」

「ん~?」


「屋上行こうぜ」

「いいよ」


屋上に着くと、春風がまだ少し冷たくて



体がぐぐっと冷えた。


「はっくしょん!」

「ったく...お前は」


『ぎゅっ』


「あったかい...」


裕太の腕の中はあったかくて



いい香りがする。



「もうすぐ...卒業だな」


「うん...」



裕太は私の肩に顎を乗せながら話した。


気がつけばもう3月。


あと15日で卒業。


「アメリカ...行っても元気でね」



そう、裕太は見事大学に合格し


アメリカにも行くことになった。



玲美も...合格した!


合格電話を受けたとき、裕太の声が嬉しそうだった。



でも私は、もう2度と裕太に会えなくなるんじゃないか~って


不安がこみ上げてきて



まぁ...今はもう仕方ないし、裕太の将来を応援するしかない。


今はとにかく、楽しもうと思って



毎日裕太といた。


「あぁ。...未央もな」


「う..ん」


もしかしたら裕太が「アメリカなんて行くかよっ冗談だよ」


って言ってくれる。


心のどこかでそう思っていたけど


そんなことあるわけなく、空気は重たいまま


私たちは屋上を後にした。
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