記憶の向こう側
「また勝手に家に入って…。…てか、楢川さんと一緒に勉強すれば?」
私はため息をつきながらそう言ったけど…
「お邪魔しますって言ったし!あいつ今、演説の原稿書いてるんだって。」
敬太はリビングのテーブルに教科書とノートを広げ始めた。
仕方なく立ち上がって、敬太のノートを見てみる。
「テスト前日に演説考えてるとは、余裕ね…って!!敬太もノート真っ白じゃん!」
なんと、世界史のノートに書かれていたのは、解読不明な文字らしきものと落書きのみだった。
「いや…だって…、世界史の授業なんて、子守唄にしか聞こえない…」
「言い訳する暇があるなら覚える!はい、用語集。」
私は強引に、さっきまで手にしていた用語集を敬太に持たせた。
敬太はふせんが貼ってあるところを一目見て、がく然とした。
「えぇ…、範囲こんなに広かったっけ?」
ブツブツ文句を言いながらも、敬太は用語集に目を通し始めた。