記憶の向こう側
敬太は私の姿を確認すると、すぐに私に近付いてきた。
「杏子…。久しぶり。」
「敬太…。」
本当に久しぶりだった。
だけど、敬太はいつもの優しい微笑みで、私を迎えてくれた。
「なかなか会いに行けなくて、ごめんな。」
久しぶりに見る敬太は、急にしっかりした大人になったように見えた。
「…病院、行くんだろ?病院まで付き合うよ。」
敬太は私に左手を差し出した。
私はそっと、その手を握った。
優しい温もり…
久々の感覚が嬉しくて、つい笑みが出た。
手をつないだ私達は、ゆっくりと歩き出した。