記憶の向こう側
そこには、真っ白な割烹着姿でスポーツ刈りの、私と同年代ぐらいだろうさわやかな男性がいた。
「俺は…、この旅館に弁当の仕出しをしてる業者。」
…仕出しの業者?
何で、こんな所にいるの?
私はまだ声を出せなくて、口をパクパクとだけさせた。
その男性は、話を続けた。
「たまたま仕出し終わって帰ろうと思ったら、あんたとさっきの客がここに入っていくのが見えたから…。あの客の表情見て、おかしいと思ってた。」