この窓を飛び越えて…







誰も知らない、




小さい小さい恋。





それでも大切にしておかないと、潰れてしまいそうで怖い。






届くものなら、いますぐにでもあなたに会いに行きたいのです……。





だけどそれは、叶わない。


わたしもあなたも、知らないことが多すぎるから。




できれば名前くらいは…って思うけれど、声になんて出せるわけもない。






この気持ちは、わたしの中で始まりわたしの中だけで終わる。




あなたはたぶん、この恋の存在を知ることなく一生を終える。




それでも……




それでもいいんです。






わたしはあなたをこうして見られるだけで幸せだから……。





小さい恋だからこそ、小さいことでも凄く幸せに思えるの。



それがたぶん、この恋のいいところになるんだと思う。





これ以上もこれ以下もない。





しっとりと降る霧雨のように、


優しく、


誰にも気づかれない。






そんな、






そんな恋だから―――――












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