ふっとストーリー
がーっ
自動ドアが開く。
ありがとうございましたーと店員の声。
すたすたと黙ってあるきだす。
歩くたびにコンビニの袋と中身が揺れる。
がさっがさっ
少し楽しいかもと思う自分は馬鹿である。

袋の中身はキャンディ。
確かフルーツミックス、みたいな名前だった。

鞄からコミック2冊ぐらいのサイズのポーチを出す。
じっ、とファスナー開ける。
中身はキャンディ。
いろんな味のキャンディがぎゅうぎゅう詰め込んである。

コンビニで買ったキャンディを開け、ばさーと入れる。
ぱんぱんだったのが更にぱんぱんになる。

こんなにでかいポーチなのにもうぱんぱん。
一体何袋買ったんだろう。
思い出せない。

キャンディ、特別好きな訳じゃなかったけれど。



学校で女子達がポーチをまわしていて。
それの中身ががキャンディで。
嬉しそうに、楽しそうに、おいしそうに皆で食べていた。
私のところには来なかった。期待していたんだけど。
「南さん。はい、あめちゃん」
と女子がポーチを渡してくれそうになったけど。
「南さんは真面目なコでしょ。受け取るわけないじゃん」って誰かが言って。
そのこは
「そっかぁ。南さん、あめの事内緒にしててね」っていいながらポーチを自分の鞄に入れた。

なんだか、そのこもポーチもキャンディも。
すごくキラキラしていた。


だからなんだろう食べもしないキャンディを買い続けるのは。
100均を見つける。入る。
いらっしゃいませーという声がする。
私は今日も食べもしないキャンディを買う。

いつかまわせる日が来るのを期待して。

食べもしないキャンディを買うのだった。


終わり
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