狂愛の鳥籠
一滴
それは恋人の愛だった。



錆び付いた扉と頑丈な鍵。ここから出られるはずはない。

始めのうちは抵抗した。
堅い扉を開けようと、必死に恋人に呼びかけた。



−こかから出して…



しかし助けを求める声は、この部屋の中に静かに消えた。どのくらい過ぎたのだろう?

この部屋の中で、どのくらいの時が過ぎたのだろうか。彼女はとうに考える事を止めていた。

朝日と星の輝きが、何度も部屋の窓に消えた…。
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