秘書室の言えなかった言葉
そして、ふと真面目な表情になり


「園田さんは基本的には、親父の秘書だし。他の秘書が育てば戻すつもりだった。言ってなかったけど、専務秘書に付けたのは、元々、期間限定。だから、違う子を付けるのが早くなっただけ。
まぁ、今後、問題が起こらないようにしたのもあるけど。次、園田さん相手じゃなくても、他の女性社員との間で問題が起これば、軽くても降格、異動は決定だから。だから、女性社員じゃなく、男性社員を佐伯さんに付けただろ」


田辺を秘書にした所で、あの佐伯さんなら、田辺の見ていない所で、いろんな子にちょっかいを出しそうだけど……


「まっ、英治は園田さんの事を佐伯さんから守ればいいんだよ。二人が仲良くしてくれないと、英治が真面目に仕事してくれないからな」


真人はそう言いながら笑っている。


知里と気まずくなろうが、俺は真面目に仕事をしているつもりなんだけど……

まぁ、真人に言われなくても、もう絶対に知里に手を出させないけどな。


今回の事でわかった。

知里がどんなに大切な人か。

そう簡単に手放すなんて出来ない。

これからも一緒に居たら、喧嘩やすれ違いもあるかもしれない。

その度に、ちゃんと話をしよう。

勝手に思い込むんじゃなくて、ちゃんと相手の話を聞こう。

そう思った――…


< 116 / 131 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop