秘書室の言えなかった言葉
二人の幸せ

 知里 side

誠司との事があってから、社長の一言で私は社長秘書に戻る事に。

社長秘書に戻ってから、誠司は私にほぼ絡んでくる事はない。

少しの間だったけど、誠司の秘書をしていたから、たまに仕事の事で話し掛けてくるくらい。

だけど、私の側には絶対英治か社長がいる。

だから、前みたいに絡んでくる事はないけど。


そして、社長秘書に戻ってから数ヶ月が経つ。

相変わらず、忙しい日々。

だから、普段、私は英治との未来の事なんて、あまり頭になかったのだけど……





雲一つない晴れたある休日。

今日は3月末に寿退社をした後輩の理生ちゃんの結婚式。

私は式が行われる教会に来ている。


「いいなぁー」


挙式の開始時刻のちょっと前。

秘書課の後輩達と話している時に、私は無意識に呟いていた。


今年で32歳になる私。

働く女性が増えてきている今、晩婚は珍しくないけど……

結婚をしている友達、子供がいる友達だっている。

それに、後輩達もたくさん結婚して会社を辞めていく。

焦っているわけではないけど、正直、羨ましく思う。

普段はそんなに感じなくても、こういう場に来ると、やっぱり羨ましく思うんだ。


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