秘書室の言えなかった言葉
「えっ?えぇっ!?」


“いつか英治と結婚したい”

そう思っていたけど、その“いつか”が今日くるなんて思っていなかった。

返事は“はい”と決まっているのに、驚きすぎて、私は返事が出来ないでいた。


「返事は今じゃなくてもいい。俺は知里とずっと一緒に居たいと思っている。だから、考えといて」


そう言って、英治は立ち上がりキッチンに歩いて行く。


「ちょっと待って」


歩いて行こうとする英治のシャツを掴む。

英治はゆっくりと振り向く。

そんな英治をまっすぐ見つめ


「あっ、えっと……、よろしくお願いします」


その瞬間、


「よかったぁ」


そして、ぎゅっと力強く抱きしめられた。


「俺、絶対幸せにするから」


耳元でそう囁く英治。

その言葉に私は顔を上げ、英治を見つめ


「二人で幸せになろう」


そう答え、微笑む。


「だな。二人で幸せになろうな」


英治のその言葉に今度は二人で微笑む。


そして、私達は誓いのキスをする――…


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