秘書室の言えなかった言葉
倉木と肩を並べて、社内を歩く私。


「でもさぁ、そんな風に言うけど、やっぱり倉木はいつも優しいよ。だって、私、いつも助けられているし」


私がサポート役のはずなのに、気が付けば、私がフォローされたりしている。


「別に、誰にでも優しくしている訳じゃないし」

「えっ?なんか言った?」


倉木は小声で何かを言ったみたいだが、私は聞き取れなかった。


「いや、別に。園田さぁ、この後ヒマ?」

「残業ー。この書類整理がまだ残ってる」


そう言いながら、私は手に持っている書類を見せる。


「これ、まとめるの?」


倉木は、そう言いながら私の持っている書類をひょいっと奪い取る。


「うん」

「じゃぁ、俺も手伝うよ」


そして、倉木はにこっと笑顔を見せる。


「だ、大丈夫だよ。すぐ終わるから」


ドキドキしている事を悟られないように、平然としたフリをして言う私。


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