秘書室の言えなかった言葉
「なら、二人でやった方がもっと早く終わるだろ?で、さっさと終わらせて、メシ食いに行こうぜ」

「えっ?」


倉木の誘いに驚いていると


「俺とメシ食うの、嫌なのかよ」


倉木は寂しそうな表情を見せる。


「ううん。そんな事ないよ。うん、行こう!頑張って早く終わらせるよ」


倉木の誘いが嬉しくてドキドキしている私は、すごく早口になっていた。

社長とは、よく一緒にご飯を食べに行っているみたいだけど。

他の男性社員や、同期とですらご飯を食べに行った話はあまり聞いた事がない。

そして、倉木がこんな風に、女性社員に普通に話し掛けたり、ご飯に誘ったりするのは知っている限り、私だけ。

だから、

“私って、特別?”

なんて勘違いして、喜んでしまう。

だって、ご飯はおろか、他の女性社員にこんな風に接している姿を見た事がないから。


でも、それって、本当に私の勘違いだったんだね――…


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