秘書室の言えなかった言葉
「はい、グラス」

「ありがとう」


英治からグラスを受け取り、ミネラルウォーターをグラスに注ぎ、頭痛薬を飲む。

その隣で、シンクにもたれている英治は、


「知里、お酒飲めないのに。昨日は飲み過ぎだよ……」


そう言いながら、私の顔を見て、ため息を吐く。


「うっ……」


お酒が弱い私は、いつも飲み会では、ウーロン茶やジュースを飲んでいる。

みんな、私があまり飲めない事を知っているから、強要される事はない。

だけど、昨日。

歓送迎会に行った私は、珍しくカクテルを数杯飲んだ。

途中から、記憶がないから、何杯飲んだのかわからないけど……

いつも飲んでも1杯くらいなのだが、それ以上は絶対に飲んでいる。

近くにいた後輩達も


「園田さん、大丈夫ですか?」


と、心配そうな顔をしていたけど、私は気にせずに飲んでいた。

だって、飲まなきゃやってられなかったから……


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