秘書室の言えなかった言葉
「……んっ……」


知里から漏れる声に、俺の理性は崩れ落ちそうになる。

だけど、ここは玄関。


さすがにここでがっつくのは……


崩れ落ちそうな理性を必死に保つ。

とりあえず、知里をリビングへ連れて行き、ソファーに座らせる。

“気持ち悪い”とは言っていないが、今日、知里はかなり飲んでいる。

知里に水を飲まそうと、キッチンへミネラルウォーターを取りに行き、リビングへ戻る。

すると知里は、ソファーの上で横たわり眠っていた。


「知里?」


身体を揺すり、声を掛けるが全く起きない。

俺は知里をお姫様抱っこし、寝室へ連れて行き、そっとベッドの上に降ろす。

そのまま寝かせると、知里が着ているスーツにシワが寄る。

俺は自分のTシャツとズボンに着替えさす事に。

シャツのボタンを外していくと、知里の白く綺麗な肌が見えてくる。


これくらいは、いいよな


俺は知里の胸元に顔を近付け、“俺のもの”という印を付ける。

佐伯さんの言葉を聞いた俺は、手放す気はないが、やっぱり少し不安だ。

だから、“俺のもの”ってわかるようにしておきたかった。

俺が印を付けた事に気付く事なくスヤスヤと眠る知里。

俺はベッドの端に座り、知里の髪を撫でながら、寝顔を見ていた。


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