すべり台
始まりから終わりまで
ち…ちちち……
古びた電灯のきれかかった音。何年たっても変わらずきれかかっているから不思議だったりする。

電灯はちかちかと消えたりついたり、虫がよったり避けたりしていた。

それをただ感情もなく私は見つめていた。


夜の公園は、寒い。
当たり前だけど。

でも誰かが隣にいたら寒くないんだろうな…。
いたら、だけど。

私は今、すべり台に座っている。
昔はとっても高い場所に感じたのに今は小さく狭い。

そして寒い。

明るい時間からいたんだけど…もう真っ暗。
5時間くらい経過したか。

楽しそうに遊んでいた子供たちは次第に減っていった。
今は私一人ぼっち。
貸し切りだぁ☆なんて思う余裕なく。

冷えきった中学生だなぁって思いますよ、自分でも。
小学生の頃とはなんか、世界が反転した感じに違う。

あー、意味不明。
あー、あ、あ、曖昧、曖昧模糊。

……はぁ
小さくはいたつもりため息は結構大きく耳に聞こえた。

ブルルル…
車の音だ。

顔をあげる。
もしかしたらお父さんかも。私を心配してくれて、捜しに来てくれたのかも。

家出なんか、なんでしたんだ!ってビンタとかして。その後ぎゅっと抱きしめてくれて。ごめんなふがいない親で…とか言って。私がううん…ごめんなさいって謝って…。お互いを思いやる家族に………………。

あー……思いっきり妄想じゃん……。なんかよくあるパターンだし。何かの読みすぎ!何かの見すぎ!!

妄想してる間に車は消えてた。
まぁ普通に走り去ったのだろう。あんな親だから、捜しはしないわな。

あれー亜最が消えたーラッキーこれで好き勝手に遊べるーってところかな。
あ、うん。リアルリアル。それっぽい。
あー………。
うー……………。
私、老けてる。

「あほんたれー…」
意味はわかんないけど叫ぶ。
次第に元気がなくなっていく私の声。
アホっぽいなって思ったし、虚しいからやめた。

ブルルル…
また車かよ。
期待しちゃうじゃーん……。8台目だな。
どれも走り去っていきましたが。

膝に顔を埋める。
もう見ない。
期待なんかしない。

楽しい事考えよう。

………家出少女、変死!?犯人はいまだ逃走中……


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