臆病な初恋。
「はい、アメリカン」
亜清の注文したコーヒーが運ばれて来た。
「どうも」と亜清が言うと、おばさんはさっき私に向けた優しい笑顔を亜清に向けて去った。
「ここのコーヒーが一番うまいな」
「うん。私もここのものが一番美味しいと思う」
「俺しばらく来てなかったから、懐かしい」
しばらく…きっと、五年来ていなかったのだろうな。
おじさんもおばさんも、亜清の成長に驚いていたから。
「なあ」
「ん?なに?」
「―――前に戻んねえか?」
「………前?」
「―――そ。幼なじみだった頃に」
戻ってくれるの?
昔みたいに笑い合ったりしてくれるの?
そう訊かなくても亜清の顔を見れば、そんな幼なじみに戻れると分かった。
何故って、亜清の顔が昔みたいに優しく笑っていたから。
私は満面の笑みで頷いた。