臆病な初恋。
あっという間に家の前に着くと、亜清が手を差し出してきた。
「これから、よろしく」
「うん、よろしくね」
私も亜清の手に自分の手を重ねた。
亜清はその手を強く握ってから離して、「中に入れ」と、顎で家を指した。
私は借りていたマフラーを外すと、亜清に手渡した。
「ありがとね」
「いや。あんま寒そうな格好ばっかしてんじゃねえぞ」
亜清は私が寒がりな事を知っているし、風邪を引きやすいのも知っているから、そう忠告してきた。
私は素直に頷いた。
「じゃあな」
「うん、ばいばい」
そう言葉を交わして、私は家に入った。
お母さんに「ただいま」と言って、お風呂に入り、すぐベッドに入った。
私は今日の嬉しさの余韻に浸りながら、眠りについた。