愛河モナミさんの秘密


【歩く姿は百合の花】

少女が立ち上がり教室を出た。


そして、また教室からぞろぞろとクラスメートたちが出て、彼女の後ろを歩く。

それはまるでブレーメンのような状態に―――。


少女が歩くと誰もが彼女に振り向く。

歩く姿も美しく、凛としていて――それはどこか儚げさも兼ね備えかつ上品で気品にあふれていている。

腰より下にある亜麻色の髪は地毛であるが、それはまるで絹のように柔らかで、輝いており、さらさらとしていながらふわりと風にゆれ流れる。

肌は透き通るような白磁にふくっらと潤ったピンクの唇、長いばさばさとした睫毛に、

くっきりとした二重にくりっとした大きな茶色い瞳。

その日本人離れした風貌は体躯にもあった。

細長い手足に、指先はまるでピアニストのように、体のラインは線が細くて出るところはきっちと出ていて、まさにモデル体型だ。


注目されないって言う方がおかしいだろう。

誰もが振り返ってしまうほどの絶世の超絶美少女とも言える。

文句のつけどころがないくらい完璧であった。


彼女が歩けば一度振り返ることなど日常茶飯事。

まさに歩く姿は百合の花。



『綺麗…』

『天使だ…』

『美しい…透き通るようだ』

『神だ…神の領域だ…』

『奇跡だ…』

『心があらわれるぅ…』


その賞賛に、彼女が通り道全てが開かれる。



『アレが噂の』

『ああ…アレが噂の愛河モナミ様だ』

どこからともなく噂話がひそひそと行われ、


『芸術だ…』

『家に飾っておきたい…』

『ありがたや~ありがたや~』

と手を合わせ拝めるものもいた。

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