「愛してる」、その続きを君に


ナツへ。



今日はこの教会はじまって以来、初めての結婚式があった。


俺たちの親友、雅樹と綾乃のだ。


柄にもなく俺、緊張したよ。


いいもんだな、目の前で愛を誓うふたりを見るのも。


これから先、俺はどれくらいの夫婦の愛の証人となれるんだろうか。


これが最初で最後だったりしてな。


そうならないことを祈るよ。


なぁ、ナツ。


俺さ、決めたよ。


時おり、こうやっておまえに手紙を書こうと思う。


おまえが最期まで俺にしてくれたように、俺もおまえへの思いを綴る。


宛先がないから出せないけどな。


でも俺が神に召されるときに、全部持っていく。


その頃には抱えきれないくらいの量になってるだろうな。


いいか、全部読めよ。


俺はおまえからの手紙、全部読んだからな。


あのミミズが這ってるような字の手紙をな。


おまえが待ってるってわかってたのに、返事も出さず辛い想いをさせて悪かった。


遅くなったけど、今からあの時の返事を書くよ。


俺は折に触れて、おまえに手紙をしたためる。


天宮信太郎という男が地上でどういうふうに生きたか、どう感じたか、おまえをどれほど想っていたか…


隠すことなく、心のすべてを打ち明ける。


もう意地なんて張らない。


張る必要なんてないんだからな。



おまえが生きていた証、そして俺の生きていた証を残してゆく。

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