「愛してる」、その続きを君に


Y女子学園に程近い高級住宅街の一画に児玉家はあった。


赤い屋根の大きな二階建ての洋館。


今は寒さで色がくすんでいるものの、広い庭一面に芝生が張り巡らされている。


綾乃の母がお花の先生ということもあり、さまざまな木々や花がセンス欲植えられていた。


「どうぞ、入って」


大きな玄関扉を綾乃が開けてくれるのだが、華奢な彼女がそうすると今にも扉の重みに押し潰されそうで、信太郎は気が気でなかった。


「お邪魔します」


着ていたコートを手に持ち、足を踏み入れた吹き抜けの玄関は、色とりどりの花で飾られていた。


「いらっしゃい」


そこに黒縁眼鏡にボサボサ頭の中年男と、それとは対照的なスラッとした身体にわとわりつくようなワンピースを着た女性がにこやかに出迎えてくれた。


「父と母よ」


信太郎の背後から綾乃が言う。


「こちら、天宮くん」


「はじめまして、天宮信太郎です」


彼は深々と頭を下げた。


応接間に通された信太郎は、壁に飾られた一枚の大きな写真に釘付けになった。


その様子を見て、Q大理学部教授で惑星研究を専攻する児玉豊(こだまゆたか)はその写真の惑星の成り立ち、構成分子、自転周期などをできるだけ専門用語を噛み砕いて彼に説明した。


今日信太郎がこの児玉家に招待されたのは、惑星研究の分野で教鞭をとる父ときっと話が合うだろう、と綾乃が思ったからである。


大学の講義室の学生よりも熱心に耳を傾けるこの青年を、児玉はすぐさま気に入ったようだった。


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