箱庭ラビリンス
俯いて、食べながら返答を待つ。手帳に色々書き留めてるのは見なかった事にしよう。
「ふむ。その、ある人と関わるようになったのが大きいと見た」
「大したことじゃないと思う」
「かもね」
……どっちなんだ。
「でーも!その大したことない事がさっきみたいに少しの変化をもたらしたって考えたら?」
「……」
先に此方に突き付けたフォークを下ろしてほしい。だが彼女はどうだと言わんばかりの笑みで私の返答を待っていた。
「あの、女の子の事?」
「そう。よく分ってるじゃない」
「……あれは、菜穂姉が幼少期についての話をしてくれたから」
「はい。二回目の『でーも!』女の子だったのと幼少期の事の話を足して引いても以前の未来ちゃんは笑わなかった。でしょ?」
「……」
再びどうだと言わんばかりの笑み。どうやっても、この人には勝てそうにはなかった。