箱庭ラビリンス
「ん、む……」
夢を見ていた気がする。優しい夢を。何の夢だったかは思いだせないが、きっと大切だった夢に違いない。気持ちが穏やかだ。
気だるい体を起こし、薄暗い部屋の中、手元に時計を引き寄せて見ればまだ夜中だったが、カーテンの向こうには街の明かりが見えた。
普段鬱陶しいと思う光も、今日だけは何とも思わなかった。むしろ、外のおかげで今は丁度いい光が部屋に入ってきてる気がした。
電気も付けずに立ち上がり、冷たい床に立つ。
流石に目が冴えて眠れない。なら朝になるまで待とうか。そうすれば学校で、そうすれば彼に会える。
「――……会いたい。のかな」
自分で考えてた事に疑問を呟く。答えは出さない。出せはしなかった。けれど、触れた手を握りしめた。
そうして、ホットミルクでも飲んで朝まで時間を潰そうかとキッチンへと足を踏み入れたのだった。