箱庭ラビリンス


張り付くように視線は動かない。嫌いな筈なのに見てしまう。


震えが酷く、歯と歯がぶつかり合い、か細い声を上げる。


「ずっとさぁ、未来に言いたかったんだよ。よくもバラしたねって」


「そ、れは……っ!」


反論しようとすれば、巻き起こるフラッシュバック。


死んだ生き物。楽しそうな顔。恨めしそうな姿。痛み。冷たさ。触れる、手。汚らわしい、穢らわしい。


今もその手が同じように私を叫ぶ。体ごと引くも逃れられない。


「っ~~!離せ!離せったら!」


周りが見ていようとも、みっともなくとも関係なく、声を荒げて反抗した。


でも……そうやっても何も変わらないんじゃないか?



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