光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「佐奈がちゃんと考えて出した答えなら、あたしたちは何も言わないよ。
……でも、自分の気持ちに嘘ついたらダメだからね?」
「…うん。ありがとう、明日美」
明日美はいつだって曖昧なあたしに、的確なアドバイスをくれる。だから、とても助かってるよ。
二人はいつでもあたしの味方で、頼りにできる存在。
……だから少し、後悔もしていた。
伸一に告白したあと、真っ先に二人に話さなかったこと。
こんな二人に話していたらきっとこの悩みも小さく済んだだろうし、この展開も迎えていなかったかもしれない。
そう思えてしまって、仕方がないんだ。
……なんて、そんなのあくまでもあたしのわがままな願いだけど。
「…あ、このクッキーもらってもいい?」
「いいよー。お母さんの手作りだから、味は保証出来ないけどね」
流歌はそう言うけれど、いつも出してくれるお菓子は美味しい。
流歌にそっくりな優しい表情をするお母さんは、お菓子作りにハマっているらしくて。
家にお邪魔すると、いつも手作りのお菓子を振る舞ってくれる。
そんなお母さんが勉強を始める前に運んできてくれたお皿の上には、甘い香りを漂わせるクッキーが山積みになっていた。
手を伸ばして一枚取る。