光を背負う、僕ら。―第2楽章―
三人で一緒に一口かじれば、甘さがほどよく口に広がる。
ここ最近は悩み事が多くて疲れた頭には、ちょうどいい甘さだった。
知らず知らずのうちに張り詰めていた表情も緩み、部屋は自然と笑顔で溢れていた。
……大丈夫。
ちゃんと答えを出せる日が来るって。
二人の笑顔を見ていたら、そう思えるから安心できた。
◇◆◇◆◇
午前中の間に勉強を終えて、流歌の家から一人家路につく。
その間あたしの頭の中は、二つの問題で埋め尽くされていた。
一つは、さっきまで二人と話していた恋愛のこと。
もう一つは絶対に目を背けてはいけない、お母さんの説得のことだ。
お母さんに嘘をついたまま始めたピアノの練習。
その練習も思い出が増えすぎてしまったあの部屋では、もう出来ないような気がしていた。
それに、進路を確定させるこの時期になっても嘘をついていることには限界が来ている。
いつまでも自分を甘やかせていてはいけない。
……そろそろ、決着をつけないと。
家の前に着いたあたしはぐっと拳を握り締めた。
今日こそは、ちゃんとお母さんと向き合うんだ。