光を背負う、僕ら。―第2楽章―
拝礼と拍手をして、胸の前で手を合わせながら目を閉じた。
一年間ありがとうございましたと、まずは去年のお礼をして、それからお賽銭の額には似合わない贅沢なお願い事をした。
家族のこと。
受験のこと。
友達のこと。
好きな人のこと。
これらにどんな問題が起きても、自分の力で乗り越えていけますように。
……そう、強くお願いをした。
「二人とも、何お願いしたの?」
参拝を終えてからそう訪ねると、「内緒ー」とはぐらかされてしまった。
あたしも二人も長い間お参りしていたから、きっとたくさんお願いしていたんだろうな……。
「良い年になるといいね」
晴天の空を見上げてからそう呟く。
目線を戻すと二人も頷いてくれて、みんなの願いが叶うような希望が見えた。
「あれ、麻木……?」
ちょうどお社から踵を返したときだった。
出店の人の呼び込みや参拝客の話し声に混ざっているけれど、あたしを呼ぶ声はしっかりと聞こえた。
何度耳にしたって飽きない声に振り返る。
するとそこには、やっぱり想像した人物がいた。
「さ、佐藤君!」
人の流れに乗って動いていた足が止まる。
目線の先にいたのは伸一と、それから真藤君だった。
二人のちょっと驚いて丸くなった瞳が一気にあたしを見る。
あたしの声に反応した明日美と流歌も二人の存在に気付いたらしく、隣で立ち止まっていた。