光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「ああ、そうだけど。それがどうかしたか?」
「いや、ちょっとねー。せっかくなんだから佐奈を誘えば良かったのに~って思ったの。二人とも両思いなんだから!」
「~っ!?」
「なっ、何言ってんのよ明日美……!!」
ぼっと顔に熱が籠って、耳まで赤面した。
寒さなんて感じないぐらい、その熱は身体中に伝染していく。
おまけに言葉を詰まらせた伸一を見ればあたし以上に真っ赤になっていて、余計に熱は引かなくなってしまった。
同じように赤面してくれるのは嬉しいけれど、二人揃って同じ顔になっているのは恥ずかしい気もする。
「……ふはっ」
……えっ?
突然聞こえた吹き出し笑いの声に、そこにいた全員の動きが止まる。
冷静になって周りを見ると、真藤君が堪えていた笑いを吹き出しているところだった。
「ははっ、だから言ったのに!“俺じゃなくて麻木を誘え”って。案の定、俺以外のやつにまで言われてるじゃん……ふはっ!」
「ちょっ、達也のアホ……!それ麻木の前で言うなよ!」
「良いじゃねぇか。ほんとのことだし」
ゲラゲラと笑っている真藤君はとても楽しそうだけど、伸一はとことん焦っているみたいだった。
だけど何だかんだと言い合う二人の口調に嫌味は感じられなくて、あたしはまた恥ずかしくなる一方で安心した。
……良かった。
真藤君も笑顔だ。
真藤君がこうやってあたしと伸一を目の前にしても笑ってくれることが、ただただ嬉しい。
真藤君は、あたし達のせいで傷付けてしまった人だから……。