光を背負う、僕ら。―第2楽章―



……大丈夫だよ、大丈夫に決まってる。



もう一生分の演奏をしたんじゃないかと思えるぐらい、毎日何度も繰り返してピアノを弾いてきた。



ブランクの分も埋めるぐらい鍵盤に触れてきた時間が無駄だったとは思えない。



課題曲も自作の曲も、しっかりと指に馴染んでいる。



ピアノのことに関しては人一倍厳しくてずっと練習に付き合ってくれていたお母さんだって、最後の練習では満足したような笑顔であたしのピアノを認めてくれた。



それぐらい頑張ったんだ。

あとは本番で、練習した通りに演奏すればいいだけ。



瞼を強く閉じすぎたせいで、何だか視界がちかちかする。



そのせいでお守りの“合格祈願”の文字が煌めいているようにも見えた。




【麻木は自分らしく弾いたらきっと大丈夫だ。それは麻木のピアノのファン第1号の俺が保証する!だから自信持って行ってこい】




今朝携帯を確認したら、そう書かれたメールを伸一から受信していた。



頑張れという言葉を使わずに応援のメッセージをくれるなんてなんだか驚きだった。



だけど簡単な一言で済まさずに送ってくれて言葉は、きっとたくさん考えて絞り出してくれたもの。


そう考えると伸一の真剣さと優しさが文章から滲み出てくるようで、どんな言葉よりも励まされた気がする。



それに最近は出来るだけ伸一とメールをすることも避けていたから、余計にそう感じたのかもしれない。



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