side by side
吐息
ぎゅっ、と首にまわした腕に力をこめた。


シュンが吐息をもらすと
あたしはつい、いつもそうしてしまう。

だってそれ以外、愛しさを表す方法をあたしは知らない。

シュンの吐息はあたしをまっしろにする。
体の芯がとけだして、
シュンのぬくもりだけを頼りに
愛しさを重ねる。


手のひらの熱さ。

優しいくちびる。

骨ばった肩。

すべてが愛しい。





シュンはそれに気づくと、
必ず顔をあげてキスしてくれる。

優しい優しい、
包み込むようなキス。




唇と唇が静けさの中に音を刻み始めて、
あたしは んっ… って言葉にならない
声をもらす。


シュンはそれを確認するように、
ナツ、ナツって何度も
くりかえしあたしを呼びながら、
あたしの胸に顔をうずめる。




なにもはばからず、ひたすらに。





まるで
赤ちゃんみたいだ。




普段のシュンからは想像もできない。



もちろん、シュンに言わせれば
あたしだって普段からは考えられない姿だろう。





あたし自身がまだとまどっているんだから。





シュン、シュン。
こんなにあなたが必要だなんて。




あたしはまた、
腕にぎゅっと力をこめた。
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