かふぇもか
「ふぅ~」


長い間湯船に浸かっていたので、上がってから水を飲んだ。


わたしを飲み込んだ水はどうしてわたしを死なせてくれなかったんだろう。


着替えが無かったのでタオルを巻いただけの格好だった。


そこにガチャガチャと音がして唯が戻ってきた。


ドキッとした。


「上がったんだ。これ着替え。自分のじゃサイズ合わないと思うからマスターの奥さんに借りてきた」


ぶっきらぼうに言って、持っていた紙袋をわたしに渡した。


中には二枚組みずつ下着や洋服、靴下が入っていた。


こんなことまでしてもらって申し訳ない気持ちになった。


窓の方を見るともう暗くなっていた。


冬は外が暗くなるのが早い。


唯はカーテンを閉めた。
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