かふぇもか
マスターの奥さんの服に着替えたわたしは、部屋の隅に置かれたビニール袋の中を漁っていた。


わたしはコンタクトを付けていると時々ゴロゴロして痛くなるので、いつも予備の眼鏡をショルダーバッグに入れて持ち歩いていたのだ。


洗面所で洗わせてもらってかけてみる。


おぉ~、見える!


携帯はもう壊れているだろう。


怖くて見れない。


水没の保険入ってたよな~と考える。


免許証やお札ももうダメだろう、というか見たくなかった。


過去には戻りたくないのだ。


ふとカーテンから外を覗いてみるとぼんやりと黒い海が見えた。



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