太陽と雪
普通なら8時間かかるところが、南の操縦する自家用ジェットだと5時間で済む。


フランスに着いてからも、時差ボケなんてものはなかった。

まあ、当然よね。
外国なんて、行き慣れてるもの。


情報得られたのかしら。
麗眞……

美崎が今どこにいるのか……
気になるところだわ。

さっきから嫌な予感がするのよね。


そんなことを思っていると、ちょうどいいところに着信が。

たまたま、携帯を矢吹に預けていたから、彼が電話に出た。


「もしもし?

麗眞さまでございますね?

かしこまりました」

私に、携帯を差し出してくる。


「どうしたのよ、麗眞。

……えっ!?

分かったわ」


麗眞と相沢さんの調査で、思わぬことが分かったようだ。


私が昔お世話になった美崎の母親。

彼女らの間に、血の繋がりはないらしい。

美崎は奥様から見れば養子だから、邪魔なだけだと、使用人が話していたらしい。

私、今までそんなこと……知らなかったのだけれど?

小学校の頃はよく遊んだ仲なのに。


「お嬢様。

美崎さまは、不正や、故意に人を陥れる行為を、嫌う方なのでは?

あくまで、あのコンテストでの彼女しか見ていない、私の想像ですが」


「そうよ、矢吹。

美崎はそういうの、大嫌いだったわ」


「その盗んだ資料を、美崎自ら返しに行っている可能性もあるわね」


とにかく、行ってみましょ。


「矢吹、南!

フランスのパリに向かって。

フランスで最大級の動物病院があるわ。
奈留ちゃんがいるところの近くの病院よ」


それからしばらくして、病院に到着した。
麗眞にはすでに、情報を回してある。


「彩お嬢様、急いだほうがよろしいかと。

城竜二家の奥様から見て、美崎さまは養子。

次期当主にはなり得ない存在です。

その意味、お分かりですか?

財閥には不要の存在として、命を狙われる可能性もございます」


それ、早く言いなさいよ!


美崎の身に何かあったら……誰かが何とかしてくれるワケ?

そんな保証あるワケじゃないし……


とにかく、急がないとね。


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